世田谷区の二子玉川で根管治療を専門に開業しております、
坂上デンタルオフィスの坂上 斉です。
当院で行った根管治療の経過についてご紹介いたします。
【初診時】
1.カウンセリング(現在の症状や経過の確認)
・他院で2カ月前に歯の根に炎症があり、根管治療を開始。
・ラバーダム(※1)を使用して治療を受けていたが、ウミが止まらない。
・大学病院を紹介され、「抜くように」と言われた。
・治療途中で痛みはない。
※1 ラバーダムとは
当院では、治療の際に「ラバーダム」という器具を使用します。ラバーダムはゴムまたはシリコン製のシート状のもので、治療する歯の周囲を覆います。これにより唾液の侵入を防ぎ、治療精度の向上や患者様の快適性向上が期待できます。
2.各種検査(口腔内診査、レントゲン・CT撮影)
カウンセリング後、口腔内を診査します。
口腔内の状態をカメラで撮影し、患者様に現在の状態を説明します。
治療中の歯は、写真左側の白い仮の蓋が入っている歯です。(図1の矢印で示す歯)
治療中の歯の隣にある歯ぐきにも腫れが見られます。(赤丸部分)
レントゲン・CT撮影をして、歯ぐきの腫れの原因を詳しく調べていきます。
まずはレントゲン写真で確認します。
治療中の歯の根の先と根の周囲にも黒い影があります。(矢印で示す部分)
しかし、下顎の骨に覆われており、レントゲンでははっきりと確認することが難しい状態です。
次に、CT撮影を行い、さらに詳細に確認します。
歯の根の先と根の周囲に大きな黒い影があります。
また、隣の歯の根の先まで黒い影が及んでいることが確認できます。
CT撮影の結果、治療中の歯の隣にある歯の歯ぐきが腫れている原因を特定できました。
3.現状と今後の治療について(患者様への説明)
▶検査結果と現在の状態
・レントゲン・CT撮影の結果、治療中の歯の根の先に黒い影を確認。
・縦に長い黒い影が見られるため、歯根破折(歯の根が割れている可能性)が疑われる。
・根が長く、若干曲がっているため、精密な治療が必要。
・歯ぐきの腫れの原因は、治療中の歯の影響と考えられる。
▶今後の治療方針
・まずは根管治療を行い、経過を観察。
・根管治療を行っても改善が見られない場合、意図的再植術(一度歯を抜いて治療し、戻す方法)が必要となる可能性がある。
・現時点で歯根破折の有無を確定することが難しいため、治療を進めながら慎重に経過を観察する。
・治療の費用およびリスク、注意点についても説明し、ご理解いただいたうえで治療を開始した。
【治療後の経過】
▶口腔内の写真
歯ぐきの腫れが治っています。
▶根管充填直後のレントゲン
根管を処置できるところまで清掃を行い、隙間なく根管充填を行いました。
大臼歯の場合、根管が重なってレントゲン画像として映るため、根管充填直後は角度を変えて2枚レントゲンを撮ることが多いです。これにより、すべての根管が適切に充填されているかを確認し、治療の精度を高めることができます。
充填後は、感染が再発しないか、周囲の骨の状態が改善しているかを確認するために、経過観察を行います。レントゲンやCTを用いて、根管周囲の骨の治癒状況をチェックし、必要に応じて追加の処置を検討します。
▶根管充填後、半年のレントゲン、CT画像
半年後のレントゲンおよびCT画像では、根管周囲の骨の回復が見られ、順調に治ってきていることが確認できます。
根管治療をしている歯は、根管治療を行っていない歯より割れやすいため、この後は最終的な被せものを入れていきます。
【まとめ】
・「抜くように」と言われても、歯を残せる可能性がある。
・CTやマイクロスコープを活用することで、より正確な診断と治療が可能。
抜歯しかないと諦める前に、一度ご相談ください。
あなたの大切な歯を守るお手伝いができるかもしれません。
坂上デンタルオフィス
📌所在地:東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
📞電話番号:03-6805-6546
最後までお読みいただきありがとうございました。