世田谷区の二子玉川にて根管治療を専門に開業しております、
坂上デンタルオフィスの坂上斉です。
当院で行った根管治療の経過です。
2~3年前に根管治療を行い、治療中のまま仮の蓋がしてある状態でした。
昨年末に瘻孔(ウミの出口)ができたが、いまは痛みや腫れはないとのこと。
他院では治療が難しいという話があり、専門医を探して当院へ来院されました。
レントゲンとCTを撮影すると・・・
根の先に黒い影があります。
治療途中の仮の蓋のまま数年が経過してしまっているのもあり、
炎症により大きく骨が溶けてしまっています。
また、CTを撮影したことで樋状根だということが分かりました。
樋状根(といじょうこん)とは、
雨樋に由来し、根管が癒合してC字型になっている根管形態のことです。
英語ではC-shaped root canal と言います。
この樋状根は、根管の内部が扁平であるために、根管治療が非常に難しい歯です。
下顎の第二大臼歯に好発し、アジア人に多く見られる根の形態です。
なかでも男性よりも女性に多く出現することが分かっています。
後日、治療1回目
以前の歯科医院で詰めてもらっていた仮の蓋と、むし歯になっているところを取り除きます。
歯質の残りが少ないところは、レジンを用いて隔壁形成していきます。
1回目の治療で炎症の原因となる根の先までお掃除していきます。
治療2回目
腫れや痛みがないことを確認します。
すべての根の先までお掃除をしていき、隙間なく根管充填を行います。
治療3回目
症状がないことを確認し、歯として使っていけるように土台を入れ、仮の歯を入れます。
根管充填後、半年
経過観察のためにレントゲンとCTを撮影しました。
レントゲン写真では少々わかりにくいですが、CTでは治ってきているのがわかります。
歯ぐきの上に見える歯質が少ないところもありましたが、何とか残すことができました。
治療期間中は、写真のように白い仮の蓋で強くかみ合わないように調整させていただいています。
治療終了後から半年の経過を診る際は、仮の歯を入れ、ある程度噛めるようにし、普段の食事などで問題なく使っていただけるようにしています。
歯の根の形態が複雑な場合でも残せる場合があります。
歯を抜いてしまう前に一度拝見させていただければ、
お手伝いできることがあるかもしれません。