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お知らせ

タグアーカイブ: ラバーダム防湿

当院での根管治療(12)

世田谷区の二子玉川で根管治療を専門に開業しております、坂上デンタルオフィスの坂上 斉です。

当院で行った根管治療の経過についてご紹介いたします。

・初診時の状況

今回の患者様は、他院での定期健診の際にCT撮影を行ったところ、左下7番(第二大臼歯)の根尖に黒い影(骨がない部分)があると指摘され、専門的な診断と治療を求めて当院を受診されました。

主訴・所見

解剖学的特徴:樋状根を呈し、根尖部でわずかに湾曲している

自発痛:なし

打診痛:軽度

圧痛:なし

腫脹:なし

レントゲン所見:根尖部の骨がなくなっており、下顎管(神経や血管の通り道)とつながっている

 

 

治療の難しさ

以前のブログ当院での根管治療(10)でも紹介したように、「樋状根」は非常に複雑な根管形態を持つため、治療が難しく、予後が悪くなる可能性があります。さらに、今回の症例では炎症で骨がない部分が下顎管とつながっていることがレントゲンとCTにより確認されました。

下顎管とは?

下顎管は下顎骨の中を走る管であり、中には下歯槽神経が通っています。もし治療中にこの神経を損傷すると、顎や下唇にしびれや麻痺が生じる可能性があります。そのため、下顎の奥歯の根管治療では、特に慎重なアプローチが求められます。特に女性は顎の骨が小さく、歯の根と神経の距離が短いことが多いため、より注意が必要です。

幸い、この患者様は初診時に痛みや腫れ、しびれなどの症状はありませんでした。しかし、症状がないからといって安心できるわけではなく、レントゲンやCT撮影による詳細な検査を行い、病変の状態や神経の位置を正確に把握することが重要です。

治療の際は、患者様に顎のしびれなどがないことを確認しながら、ファイル(根管治療で用いる器具)操作に注意し、治療を進めていきます。根管充填前には、ファイル試適を行い、正確な根管の長さを確認してから根管充填を行いました。

ファイル試適の意義 

ファイル試適とは、根管治療中にファイルやガッタパーチャを用いて根管内の長さや形態を確認するプロセスです。特に今回のケースでは以下の点を慎重に確認しました。

  1. 根管の長さの正確な測定:下顎管との距離を考慮し、安全な範囲で根管長を決定。
  2. 根管の形態の把握:樋状根の影響で根管形態が複雑なため、CT画像と照らし合わせながらファイルの挿入を慎重に行う。
  3. 根尖付近の病変との関係の確認:病変が下顎管とつながっているため、無理に拡大すると神経損傷のリスクが高まる。

先日、治療したところが気になるとのことでご来院いただき、根管充填後2年のレントゲン、CT撮影をしました。腫れ、痛み、しびれるなど症状はなく、根尖の黒い影もきれいになくなっていました。

まとめ

根管治療は一度目の治療が重要です。同じ歯を何度も治療すると治療のたびに歯は削られ、治りにくくなり、寿命が短くなります。そのため、最初の治療をいかに精密に行うかが重要です。

また、今回のように痛みや腫れがなくても、定期検診のレントゲンやCTで思わぬ問題が見つかることがあります。早期に発見し、適切な処置を行うことで、歯や神経の健康を守ることができます。もし気になる症状や不安があれば、遠慮なくご相談ください。

坂上デンタルオフィス

所在地:東京都世田谷区玉川3-14-8 3F

電話番号:03-6805-6546

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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当院での根管治療(11)

世田谷区の二子玉川で根管治療を専門に開業しております、

坂上デンタルオフィスの坂上 斉です。

当院で行った根管治療の経過についてご紹介いたします。

【初診時】

1.カウンセリング(現在の症状や経過の確認)

・他院で2カ月前に歯の根に炎症があり、根管治療を開始。

・ラバーダム(※1)を使用して治療を受けていたが、ウミが止まらない。

・大学病院を紹介され、「抜くように」と言われた。

・治療途中で痛みはない。

※1 ラバーダムとは

当院では、治療の際に「ラバーダム」という器具を使用します。ラバーダムはゴムまたはシリコン製のシート状のもので、治療する歯の周囲を覆います。これにより唾液の侵入を防ぎ、治療精度の向上や患者様の快適性向上が期待できます。

2.各種検査(口腔内診査、レントゲン・CT撮影)

カウンセリング後、口腔内を診査します。

口腔内の状態をカメラで撮影し、患者様に現在の状態を説明します。

治療中の歯は、写真左側の白い仮の蓋が入っている歯です。(図1の矢印で示す歯)

治療中の歯の隣にある歯ぐきにも腫れが見られます。(赤丸部分)

レントゲン・CT撮影をして、歯ぐきの腫れの原因を詳しく調べていきます。

まずはレントゲン写真で確認します。

治療中の歯の根の先と根の周囲にも黒い影があります。(矢印で示す部分)

しかし、下顎の骨に覆われており、レントゲンでははっきりと確認することが難しい状態です。

 次に、CT撮影を行い、さらに詳細に確認します。

歯の根の先と根の周囲に大きな黒い影があります。

また、隣の歯の根の先まで黒い影が及んでいることが確認できます。

CT撮影の結果、治療中の歯の隣にある歯の歯ぐきが腫れている原因を特定できました。

3.現状と今後の治療について(患者様への説明)

▶検査結果と現在の状態

・レントゲン・CT撮影の結果、治療中の歯の根の先に黒い影を確認。

・縦に長い黒い影が見られるため、歯根破折(歯の根が割れている可能性)が疑われる。

・根が長く、若干曲がっているため、精密な治療が必要。

・歯ぐきの腫れの原因は、治療中の歯の影響と考えられる。

▶今後の治療方針

・まずは根管治療を行い、経過を観察。

・根管治療を行っても改善が見られない場合、意図的再植術(一度歯を抜いて治療し、戻す方法)が必要となる可能性がある。

・現時点で歯根破折の有無を確定することが難しいため、治療を進めながら慎重に経過を観察する。

・治療の費用およびリスク、注意点についても説明し、ご理解いただいたうえで治療を開始した。

【治療後の経過】

▶口腔内の写真

歯ぐきの腫れが治っています。

▶根管充填直後のレントゲン

 

根管を処置できるところまで清掃を行い、隙間なく根管充填を行いました。

大臼歯の場合、根管が重なってレントゲン画像として映るため、根管充填直後は角度を変えて2枚レントゲンを撮ることが多いです。これにより、すべての根管が適切に充填されているかを確認し、治療の精度を高めることができます。

充填後は、感染が再発しないか、周囲の骨の状態が改善しているかを確認するために、経過観察を行います。レントゲンやCTを用いて、根管周囲の骨の治癒状況をチェックし、必要に応じて追加の処置を検討します。

▶根管充填後、半年のレントゲン、CT画像

半年後のレントゲンおよびCT画像では、根管周囲の骨の回復が見られ、順調に治ってきていることが確認できます。

根管治療をしている歯は、根管治療を行っていない歯より割れやすいため、この後は最終的な被せものを入れていきます。

【まとめ】

・「抜くように」と言われても、歯を残せる可能性がある。

・CTやマイクロスコープを活用することで、より正確な診断と治療が可能。

抜歯しかないと諦める前に、一度ご相談ください。

あなたの大切な歯を守るお手伝いができるかもしれません。

坂上デンタルオフィス

📌所在地:東京都世田谷区玉川3-14-8 3F

📞電話番号:03-6805-6546

最後までお読みいただきありがとうございました。

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当院での根管治療(10)

世田谷区の二子玉川にて根管治療を専門に開業しております、

坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

当院で行った根管治療の経過です。

2~3年前に根管治療を行い、治療中のまま仮の蓋がしてある状態でした。

昨年末に瘻孔(ウミの出口)ができたが、いまは痛みや腫れはないとのこと。

他院では治療が難しいという話があり、専門医を探して当院へ来院されました。

レントゲンとCTを撮影すると・・・

  

根の先に黒い影があります。

治療途中の仮の蓋のまま数年が経過してしまっているのもあり、

炎症により大きく骨が溶けてしまっています。

また、CTを撮影したことで樋状根だということが分かりました。

樋状根(といじょうこん)とは、

雨樋に由来し、根管が癒合してC字型になっている根管形態のことです。

英語ではC-shaped root canal と言います。

この樋状根は、根管の内部が扁平であるために、根管治療が非常に難しい歯です。

下顎の第二大臼歯に好発し、アジア人に多く見られる根の形態です。

なかでも男性よりも女性に多く出現することが分かっています。

後日、治療1回目

以前の歯科医院で詰めてもらっていた仮の蓋と、むし歯になっているところを取り除きます。

歯質の残りが少ないところは、レジンを用いて隔壁形成していきます。

1回目の治療で炎症の原因となる根の先までお掃除していきます。

治療2回目

腫れや痛みがないことを確認します。

すべての根の先までお掃除をしていき、隙間なく根管充填を行います。

治療3回目

症状がないことを確認し、歯として使っていけるように土台を入れ、仮の歯を入れます。

根管充填後、半年

経過観察のためにレントゲンとCTを撮影しました。

レントゲン写真では少々わかりにくいですが、CTでは治ってきているのがわかります。

歯ぐきの上に見える歯質が少ないところもありましたが、何とか残すことができました。

治療期間中は、写真のように白い仮の蓋で強くかみ合わないように調整させていただいています。

治療終了後から半年の経過を診る際は、仮の歯を入れ、ある程度噛めるようにし、普段の食事などで問題なく使っていただけるようにしています。

歯の根の形態が複雑な場合でも残せる場合があります。

歯を抜いてしまう前に一度拝見させていただければ、

お手伝いできることがあるかもしれません。

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神経を取る薬には、副作用がないのでしょうか? 周囲の組織に悪影響がないか心配です。

以前の感染根管治療(根の中の掃除)や抜髄(神経を取る治療)では非常に強い薬を使っていたようです。

しかし、強い薬のデメリットが報告されるようになり、比較的作用の弱い薬を使うようになってきております。

それは根管治療中に無菌的環境下(ラバーダム防湿など)で処置を行い、マイクロスコープを使用し処置をすることにより、以前より確実に感染源や神経を除去することができるようになったためです。

当院での処置では、ラバーダム防湿やマイクロスコープを用い、確かな知識・技術に基づいて処置を行ってまいりますので、余計な薬の使用を控え薬のデメリットを減らし、周囲への悪影響を抑えることができると考えております。

 

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根管治療専門医としてのラバーダム防湿 part 2

世田谷区二子玉川で根管治療専門医院として開業しております、
坂上デンタルオフィスの坂上 斉です。

前回に引き続き、
ラバーダム防湿についてご説明しようと思います。
ラバーダムはもともと、1864年にニューヨークの歯科医である
S.C.Barnumによって紹介されました。実は非常に歴史のある処置方法です。
日本では江戸時代の末期です!!

そんな昔からある処置法であるラバーダムには、
痛みを少なくするために、少しコツがあります。
スライド9
下の歯の奥歯(大臼歯)の模式図で説明いたします。
歯を前後方向で見た模式図です。
スライド2
歯は根元がくぼんでおり、
(右図の黄色いところ)
そのくぼみを狙ってクランプの爪をかけることによって、
クランプが外れない様になります。

スライド3
金属製や合成樹脂製のクランプを広げて
静かに持ってきます。

 

スライド4
根元の黄色いところに爪をかけるのですが、
この時、歯肉を挟まないように!
静かに合わせていきます。
こうすることにより、歯ぐきに触れても
痛みを少なくできます。

 

上から見たときの模式図でも説明致します。
スライド10
歯の四隅の角に爪がかかるように狙います。
スライド6

 

 

 

 

四隅に爪を合わせるように、
金属製や合成樹脂製のクランプを広げて
スライド7
静かに持ってきます。

 

 

 

この時、歯の後ろがわの角二つ
しっかりかけることが重要です。
スライド12
後ろがわの角にしっかりかけていないと、
ラバーダムシート(ゴムやシリコーンのシート)を
引っ張った時に、
クランプが外れてしまいます。

歯の大きさによって、四隅の間隔が変わってきますので、
当院では、数種類のクランプを用意して、
痛みを少なく、手早く、適切に
ラバーダム防湿ができるようにしております。
細かな話なのですが、
根管治療を行う際に、私は気にして治療しております。
治療の予後(経過)にどの程度、影響するかは分かりませんが、
細かな治療を行うようになるほど、
基本的な手技が重要になると感じております。

世田谷区の片隅で根管治療を行っている、
小さな歯科医院からの細かい話でした。
お付き合いいただき、ありがとうございます。

坂上デンタルオフィス
坂上 斉

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根管治療専門医としてのラバーダム防湿 part 1

世田谷区二子玉川で
根管治療専門医院として開業している
坂上デンタルオフィスの
坂上 斉と申します。

今回は私たち、根管治療専門医にとって
非常に大切なもの【ラバーダム防湿】についてお話ししようと思います。
一般的に言われているラバーダムとは、日本の教科書的にはラバーダム防湿と言われ、
英語では”rubber dam isolation”と言います。
日本語の「防湿」と「isolation」はニュアンスが異なる感じがしますが、
それは今回の話の本質ではないので、また後で。
IMG_4182ラバーダム防湿の目的は、
・唾液の流入による感染の防止
・根管洗浄剤の口腔内への漏出の防止
・治療用器具の口腔内落下の防止
・術野の明示
・治療用ミラーのくもり防止
(↑マイクロスコープを用いた根管治療ではこれが非常に重要!)
などがあり、
欠点として
・根管の方向がわかりにくくなる
・若干の痛みを伴うときがある
などがあります。

根管治療に際しては必ず行うことなので、
欠点を理解して行っていきます。
「行うか行わないか」ではなく、
行うときの欠点をいかに少なくするか、私はそこが大事かなと思っております。

当院ではラバーダム防湿に使用するクランプという器具も
数種類取り揃えております。
DSC_0155
クランプとは歯の根元(歯の頭の部分と根の部分の境)のくぼみに爪の部分をかけて、
引っ張ったゴムのシートが外れないように固定しておく器具です。
ラバーダムの時に生じる痛みの多くは、クランプを歯にかける時に生じますので、
いかに痛くなく、確実に、クランプをかけることが「痛みの少ない治療」には大事になってきます。
当院では数種類のクランプを駆使して、治療を行います。
なぜなら治療する歯は、歯種も違えば、残存する歯の形態も異なります。
治療する歯に適したクランプを選ぶことにより、
痛みが少なく、外れずに、唾液も入ってこない、ラバーダム防湿を行うことができます。
治療時の術野を確保し、器具を動かしやすくする、
ひいては治療の予後(経過)に関わってくる非常に重要な器具なのです。

当院で行う根管治療では必ずラバーダム防湿を行いますので、
患者さんに対して痛みを少なくラバーダム防湿が行えるように、
いつも注意しております。

『根管治療専門医としてのラバーダム防湿 part 2』では
具体的なかけ方について説明しようと思います。

坂上デンタルオフィス
坂上 斉

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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